前文 試験で疲れてしまった李さんと毛さんは、メーデーの連休を利用して、どこかへ遊びに行こうと相談しました。 毛さんは中国一の盆栽園と言われる、植物園へ行こうと提案しましたが、李さんはそこは遠すぎると言って、賛成しませんでした。 相談した結果、広くて景色のいい上海万博園へ行くことにしました。 李さんはその日自転車で行く方が楽しいと言いましたが、 毛さんは、この間、自転車に乗って怪我をしたので、賛成しませんでした。 それで二人は地下鉄で行くことにしました。 毛さんは帰りに妹にお土産を買ってあげたいと思っています。 李さんはお土産ならマスコット「ハイバオ」のおもちゃの方がいいと毛さんに勧めました。 会話 李:毛さん、メーデーの連休はどう過ごすつもりですか。 毛:そうですね。毎日本を読んでばかりいると、つまらないから、どこかへ行って、のんびりしたいですね。 私は今度の試験で疲れてしまいました。 李:試験といえば、私も嫌になってしまいました。 本当にのんびりしたいですね。 どこかいいところはありませんか。 毛:久しぶりに公園へ行きたいと思っていますが、李さんはどうですか。 李:公演なら私も行きたいです。 公園には丘や、池や、美しい花壇があって、散歩にはいいですね。 でも、人がいっぱいだったら嫌ですね。 毛:そうですね。中国一の盆栽園と言われる植物園はどうでしょう。 あそこなら、遊びに来る人も少なくて、静かだそうですよ。 それに珍しい草や花や木なども見られるので、 勉強にもなりますね。 李:しかし、あそこはちょっと遠すぎますよ。 バスの乗り換えが多くて、二時間はかかるでしょう。 もう少し近ければいいのですか。 毛:じゃ、万博園はどうですか。 あそこなら植物園ほど遠くないでしょう。 李:ああ、万博園ならいいですね。 あそこは広くて、景色もいいですね。 毛:それに、万博館、万博公園、万博村など、素晴らし所も沢山見られるでしょう。 李:そうですね。じゃ、万博園にしましょう。 毛:では、万博園へは、いつにしますか。 李:メーデーの最初の日、金曜日にしたらどうでしょうか。 毛:金曜日なら、私も都合がいいですが。 李:それなら、金曜日の朝出かけて、夕方帰ることにしましょう。 毛:李さんは、一日遊ぶつもりですか。 李:ええ、どうせ行くなら、一日ゆっくり遊びましょう。 毛:そうですね。一日あれば、いろいろなところが見られますね。 じゃ、一日遊びましょう。 李:万博園へ行ったら、写真をたくさん撮りましょう。 毛さんは写真が撮れますか。 毛:ええ、大して上手じゃないんですけど、写真のことは私に任せてください。 李:カメラは持っていますか。 毛:ええ、持っています。大したものじゃありませんけど。 李:じゃ、お願いします。ところで、もし雨が降ったらどうしますか。 毛:雨だったら、行っても仕方がないから、やめましょう。 李:天気が良ければいいですね。 毛:木曜日の夜天気予報を聞いてましょう。 李:私は新しい自転車を買ったばかりですから、自転車で行く方が楽しいのですが。 毛:いや、自転車はやめましょう。 李:どうしてですか。 毛:この間、自転車で市内へ行ったんですが、途中で怪我をしてしまったんですよ。 李:どうして怪我をしたんですか。 毛:交差点で道を渡ろうとしたら、トランクに衝突してしまったんです。 李:危ないですね。 毛:本当に危なかったですよ。 その時、転んで後ろから来た車にひかれそうになったんです。 李:そうでしたか。まあ、助かってよかったですね。 毛:ええ、それで、それからは遠い所へは自転車で行かないようにしています。 李:そうですか、じゃ、地下鉄で行きましょう。出発は何時にしますか。 毛:七時十分前にしたらどうでしょう。 李:いいです。七時ごろでかければ、八時半につけますね。 毛:ええ、一時間あれば十分です。 李:どこで待ち合わせましょうか。 毛:大学の正門でどうですか。 李:いいですね、正門の近くで地下鉄に乗れますね。 毛:ええ、それから、私は帰りに妹に何かプレゼントを買ってやろうと思っているんです。 李:誕生日ですか。 毛:そうなんです。お祝いには何がいいでしょうか。 李:プレゼントなら、万博のマスコット「ハイバオ」のおもちゃがいいでしょう。 毛:そうですか、それは喜ぶかもしれませんね。どこで買ったらいいでしょう。 李:万博園に、できたばかりのお土産店があって、 いろいろなおもちゃをそろえているそうです。 毛:そうですか、じゃ、プレゼントはそれにしましょう。 李:弁当は持っていきますか。 毛:そうですね。向こうで買おうと思えば買えますが、ちょっと高いでしょう。 李:それに、込んでいるから、いくら待っても買えない時もありますしね。 毛:じゃ、当日それぞれ自分で用意して持っていきましょう。 李そうしましょう。 単語 メーデー 毛 もう 盆栽園 ぼんさいえん 植物園 しょくぶつえん 提案 ていあん 賛成 さんせい 景色 けしき この間 (あいだ) 勧める すすめる 詰まらない つまらない 丘 おか 花壇 かだん 都合(つごう)がいい どうせ 仕方がない 交差点 こうさてん 渡る わたる トラック 衝突 しょうとつ 轢く ひく まあ 正門 せいもん 揃える そろえる 弁当 べんとう 読解文 四川大地震 生死の瀬戸際の同胞愛 2008年5月12日四川省汶川県を中心に、マグニチュード8の大地震が起きた。 四川省、甘粛省、陝西省、重慶市などで、死者、行方不明者約八万人、負傷者約二十八万人の大きな被害が出だ。 不意に発生したこの大地震は 現地に暮らす人々に多大な損失と苦難をもたらしたが、 そんな悲劇の中にも数々の心を揺さぶる同胞愛の物語だった。 5月13日午後11時50分、冷たい雨の降り続く、德陽市漢旺鎮の黒い空を切り裂くように、救急車のサイレンが鳴り響いた。 その救急車で運ばれていたのは、 倒壊した中学校の建物から救出された四人の生徒であった。 「そのうちの一人が、私の姪です。 もしも譚先生が身を挺してかばってくれていなかったら、この四人の子供たちは、生きてはいなかったでしょう」と、助かった女子生徒、劉紅麗さんの叔父は涙を流しながら言った。 「発見されたとき、譚先生は両腕を大きく広げ、 机の上に、うつ伏せたような姿でした。 彼の体の下にいた四人の生徒はみんな無事でしたが、 譚先生は頭を打たれ、残念ながら亡くなりました。」と、ある救助隊員が現場の様子を振り返る。 中学校の運動場では、譚先生の妻張関蓉さんが、 夫の顔についた土を丁寧にぬぐい、乱れた髪を整えていた。 「ある日、主人はいつものように六時に起きて、 娘の洗顔や着替えを手伝ってから早々と学校に出かけていきました。 娘はまで家でパパの帰りを待っているのに…」 そう言ってすすり泣く張さんの言葉はもはや声にならなかった。 この場にいた生徒の親たちは、現地も風習にのっとって爆竹をならし、譚先生の安らかな眠りを祈った。 単語 四川 しせん 大地震 おおじしん 生死 せいし 瀬戸際 せとがわ 同胞愛 どうほうあい 汶川県 ぶんせんけん 重慶市じゅうけいし 死者 ししゃ 行方不明者 ゆくえふめいしゃ 約 やく 負傷者 ふしょうしゃ 被害 ひがい 不意 ふい 発生 はっせい 現地 げんち 多大 ただい 損失 そんしつ 苦難 くなん もたらす 悲劇 ひげき 数々 かずかず 揺さぶる ゆさぶる 物語 ものがたり 冷たい つめたい 降り続く ふりつづく 徳陽市 とくようし 漢旺鎮 かんおうちん 切り裂く きりさく 救急車 きゅうきゅうしゃ サイレン 鳴り響くなりひびく 運ぶ はこぶ 倒壊 とうかい 救出 きゅうしゅつ 生徒 せいと 姪 めい もしも 譚 たん 身を挺する みをていする 庇う かばう 劉紅麗 りゅうこうれい 発見 はっけん 両腕 りょううで 広げる ひろげる うつ伏せる うつぶせる 無事 ぶじ 打つ うつ 亡くなる なくなる 救助隊員 きゅうじょたいいん 様子 ようす 振り返る ふりかえる 妻 つま 張関蓉 ちょうかんよう 夫 おっと 土 つち 拭う ぬぐう 乱れる みだれる 髪 かみ 整える ととのえる 主人 しゅじん 娘 むすめ 洗顔 せんがん 着替え きがえ 早々と そうそうと すすり泣く すすりなく もはや その場(ば) のっとる 爆竹 ばくちく 鳴らす ならす 安らか やすらか