[00:16.75]朝靄(あさもや)も冷(ひ)える日(ひ)が続(つづ)きます。 [00:29.75]お変(か)わりなど御座(ござ)いません様(よう)に。 [00:42.75]十二月(じゅうにがつ)の陽射(ひざし)しにも慣(なれ)れる頃(ころ)、 [00:55.75]思(おも)い出(だ)すことばかりが増(ふ)えます。 [01:08.75]雪暮(ゆきぐ)れ。 [01:11.75]冬(ふゆ)の匂(にお)いが立(た)ち籠(こ)めれば、 [01:21.75]ワインレッドのカーテンが躍(おど)る。 [01:29.75]そんな夜(よる)には、 [01:38.75]この場所(ばしょ)から見(み)える月(つき)が、 [01:44.75]貴女(あなた)の瞳(ひとみ)を同(おな)じ様(よう)に彩(いろど)っていて欲(ほ)しいのです。 [02:26.75]夢(ゆめ)は夢(ゆめ)の中(なか)で、 [02:35.75]今(いま)でも止(と)まったままで寄(よ)り添(そ)っています。 [02:56.55]「ねぇ メイドさん」 [02:58.00]「はい?」 [02:59.55]「やっぱりさぁ 人間は不公平だよ、百年やそこらで消えてしまうなんて」 [03:05.55]「私達はそれで十分なんですよ」 [03:09.45]「あぁ でもあなたはそのくらい、なんとか出来るんじゃないの?」 [03:14.45]「どうでしょう」 [03:15.75]「もっとおいしいお茶が飲みたいなー」 [03:19.65]「考えておきます。」 [03:22.55]不意(ふい)に背伸(せのび)びをした後(あと)、 [03:28.75]優(やさ)しく髪(かみ)を撫(な)でるその指(ゆび)が [03:37.75]何(なに)もかもが。 [03:40.75]愛(いと)おしいのです。 [03:47.75]始(はじ)まる度(たび)に終(お)わってゆくおとぎの世界(せかい)で、 [04:01.00]ひとつくらい嘘(うそ)をついてもいいでしょう? [04:13.75].赦(ゆる)される身(み)だとしても貴女(あなた)に召(め)されたい、 [04:27.00]心(こころ)より深(ふか)い所(ところ)でそう思(おも)うのです。 [04:40.00]「生(い)きている間 (あいだ)はずっと一緒(いっしょ)にいますから」 [04:53.45]私(わたし)以外(いがい)すべて此処(ここ)に残(のこ)すから、 [05:02.75]また逢(あ)えるから、 [05:05.85]呼吸(いき)を、止 (と)め、て。