憶えてて 憶えてて わたしの面影 何もないこの空に星を降らせて 逝かないで 逝かないで 針を手折るのに 往かないで 往かないで 時は止まらない 消えないで 消えないで 誰かの面影 風に舞う花びらは夜空に踊る 鐘が鳴る 鐘が鳴る 終焉を告げる 繋がれた手の中に古びた金貨がひとつ 土に汚れた十字架は 物言わずわたしを責める 花束は風に吹かれて 立ち眩む 白い空の下 薔薇の園はいつしか寂しく朽ちて 壊れた時計だけが時を刻まず 帰りを待つには広すぎたこの部屋に 誰もいない わたしは独り 憶えてて 憶えてて わたしの面影 何もないこの部屋に灯り燈して 逝かないで 逝かないで 強く願うのに 往かないで 往かないで 時は止まらない 散らないで 散らないで なけなしの言葉 呼ばれない名前から空洞になる 鐘が鳴る 鐘が鳴る 夜更けが遠のく そっと寄り添うように並べた棺がひとつ 薔薇の枝を手に誓いを交わした 幼い記憶 同じこの場所で 包帯を巻いて接吻を落とせど 動かない羽は折れたまま 目を閉じたから 破れた天蓋 霧は雨に変わりわたしを焦がした 星灯り消しても虹色硝子に映る わたしの小さな躯 憶えてて 憶えてて わたしの面影 何もないこの空に星を降らせて 逝かないで 逝かないで 強く願うほうが 往かないで 往かないで 時は止まらない 消えないで 消えないで 誰かの面影 風に舞う花びらは夜空に踊る 鐘が鳴る 鐘が鳴る 終焉を告げる 繋がれた手の中に古びた金貨がひとつ