煙立つ 頂の先の 忌まわしき 月を睨め付けていた 煤が舞い 燻ぶる魂 哀れみも 施しも寄せず 揺れる瞳に 涙を溜めているのに 嗚呼…… 此の身に出来る事等無い 只、腕を伸ばして抱き締めた か細く震える胸に 馨り立つ沈丁花 人の子よ 己を厭わず 願うなら 永久に人であれよ、と けれど 何時かは燃え尽きてしまうから 嗚呼…… 貴女が灰と消える時は 私が此の身で燃やしましょう そして其れを埋めたなら 庭に咲く沈丁花 貴女に出逢えたあの日から 此の指ではもう数え切れず 幾年が過ぎようとも 傍に咲く沈丁花