代理人:証人は名門貴族の同士として一般に知られているようだが。 カヴァルカンティ 侯爵:やめてくださいよ。僕は貴族でも何でもない。赤ん坊の時に捨てられ、孤児院で育てられ、外に出てからはそりゃ何でもやりましたよ。盗み、火付け、それに殺しも。 ヴィルフォール:それは本件と何の関係がある? カヴァルカンティ 侯爵:大割りです。僕の出生の秘密をお話しに参りました。 ヴィルフォール:ふざけるな! 判事:静粛に。 証言を続けなさい 。 カヴァルカンティ 侯爵:僕はオトイで生まれました。今、モンテ・クリスト伯爵の別邸になっているところです。僕は生まれると同時に葬られた、小さなひつぎにいれられてね。父さんはさぞ取り乱したことでしょうね。将来を約束された裁判官が愛人に子供を産ませるなんて、許されることじゃない。それでオトイの館に母さんを匿い、僕を… ヴィルフォール:裁判長、今日はもう休廷にしたらどうかね?