秋分 陰陽の中分となれば也。 季節の変り目、京の盆地は深い霧に覆われます。平安時代、人々は春と秋、どちらが優れているかを議論しました。春は霞、秋は霧。同じ現象でも微かな趣の違いを捉え、言葉を使い分けています。人の豊かさは、自然を感じ取る力で図られるのかもしれませんね。西の彼方のご先祖様に、思いをはせる、秋のお彼岸。殺生を禁じる仏の教えに従い、肉や魚を使わない、精進料理をお供えします。信仰心の篤い都では、良質の野菜を育て、仏のご膳を継承してきました。何も奪わず、貪らず、そのわきまえた生き方が清らかさのもとになっているのかもしれません。ひんやりと頬を撫でる秋の風、虫たちは早くも冬支度を始めたようです。京都には二十四の季節があります。