啓蟄 陽気地中に動き、縮まる虫、穴をひらき出ずれば也。 麗らかな陽気でようやく目覚めた小さな命。蝶は別名「夢見鳥」と呼ばれます。自分が蝶になった夢を見たのか、蝶は夢を見て、自分になっているのか。現実と夢の間を自由に旅することのできる季節なのかもしれませんね。 お釈迦様がなくなり、悟りの境地に入られたことを「涅槃」といいます。京都には命日のこの日、「お釈迦さんのはなくそ」というお菓子を食べる風習があります。お供え物の「花供御」が転じた愛称で、釜に残ったご飯で作るのが慣わしです。一粒も捨てずに活かしきる、その心を大切な人に届けていたのかもしれませんね。春はまだ始まったばかり、つぼみが開くのはこれからです。京都には二十四の季節があります。