赤く熟れた痛みの理由は、止めどない矛盾の轍。 言葉だけは「人」を装い、「命」さえ受け入れなかった。 遠く幼かったあの頃の記憶が、優し過ぎたよ。 あの日の母が、私の「矛盾」に消えた。 笑える事も知らず、愛される事も知らず その瞳から流れる涙も知らず。 名前さえ知らないから、呼んでいる声も知らずに まだ眠り続ける赤い果実の話。 私はただ怖く思った。 何よりも怖いと思った。 そして何も無かったように笑えたなら 全ての罪もこの傷さえも忘れられると信じてたよ。 それなのにこの痛みは何? 息をするだけで痛む。 そう、遅過ぎた後悔の渦に飲まれ。 神様が私にくれた最高の宝物なら、 罪深き私が海に捨ててしまった。 赤く熟れた私の果実、教えてよ、何処にあるかな? 笑える事も知らず、愛される事も知らず その瞳から流れる涙も知らず。 名前さえ知らないから、呼んでいる声も知らずに まだ眠り続ける赤い果実の話。 ずっと忘れられない赤い果実の話。