八月二日 最初のページ 「手をつなぐのも、 すぐ慣れるかな。」 床に広げて 並ぶ思い出 読みあげる君の声色 泣きそうだったのは気のせい 四月八日 「ごめん、気付いてなかった。 ちょっと辛いカレー、 食べられない君のこと。」 幸せだった それは何一つ嘘じゃなくて ごめんねとかじゃ 戻らないものがあった 君の隣で 笑ってふざけて そんな日が遠くて なあ 黙るぐらいなら泣いてよ 捲るページが 言葉の波が 不器用だった僕の青を照らす あいしてる あいしてる でも口に出すにはもう     九月四日 「逢えない日が続くよね。 好きな気持ちだけじゃ、 ガマンが出来なくなるよ。」 十月十日 「このまま一人はもういやだな。 置いてくのなら、 いっそさ……僕らはここで、」 最後になれば 僕の文字だけ 君は何も言わないまま 黙るぐらいなら怒ってよ 捲るページが 触れない指が 恋を繋げることはないと知った あいしてる あいしてた もう戻せない想い 捲るページもあとは白紙で 閉じた表紙にそっと置いたリング ねえ 寂しさに飽きたよ ねえ ここで終わらせよう     三月四日 最後のページ 日記を棄てて 恋から逃げてくだけ