躓きや小さな理想さえ 気づかぬままに色づく楓の木。 「心の声に理由はあるか」 自分の手を払う。 過ぎゆく季節も無情なままに僕を襲う。 人思うその感情まで 僕の存在の意味を無くす。 あたりを見渡しても 掌にはおさまらない。 手に差し伸べる意思と 劣る自分が足踏みをする。 確かにある憐れみと せめぐ逃げと 苛立ちの中。 僕の生まれた意味は きっとこれからもわからぬまま。 変わらないこの世界で ただひたすら傷ついていく。 ただ意味もなく色づく楓。 渇き落ちてゆく赤の森は 僕の心を埋める。 それは友のぬくもりのようで。