父さん 今日ね、生まれて初めて人を殺めました。 暗く、雨の降る夕暮れに 紅く流れました。 許す言葉など 持たされぬ部屋で 磨き上げるのは 真実の刃 生前の君だけが 勇気付けて、くれる ほんのり甘く 香るスープも それも尽きる頃に 擦れる声 小さく微笑い 眠りにつきました。 帳の 降りきる前に 間に合って 稀有な偶然が織り成す 悲劇 巻き込まれたのは 甘い 帰れぬ明日 少年は持ち直すことなく 結局だめでした。 きっと君が いっそ、ならば と 連れて逝ったのでしょう 明日はまた君に会える その夜に 天使の羽音が 遠ざかる朝 審判のラッパは…黒い手が持っていた。