[00:32.90]莓色のリボン贵方が呉れたから [00:41.26]大事にして居たのに [00:45.15]赤い鳥が咥えていって仕舞ったの [01:09.24]くどい厭な朱色 藥指撫でつけ [01:17.83]くちびるに塗りたくると [01:21.99]見たことのない顔がわらふ [01:26.91]逃げ込んだ小部屋に [01:31.06]御菓子など満たして [01:35.42]大好きな色で壁を [01:39.48]塗り塗り塗り塗り [01:41.94]昼夜あけ暮れて [01:43.90]扉を閉ぢる蝶番を水飴で絡めて [01:48.75]又と動かぬやうに 嶋呼、あ! [01:51.90]窓は一つ残らず暗幕で隠して [01:55.92]どうかせめてわたしの御城だけ [02:10.63]散らかるこの部屋に蹲る影法師 [02:19.17]きたないの御免なさい [02:23.37]もう貴方にも見せられない [02:27.65]色彩ばかり溢れたこの部屋に [02:31.50]一つ、ぽかりと空けられた針穴が [02:34.96]外の絵柄を否が応にも映し出して [02:39.68]今日もほんとうにはくるえない [03:03.42]目と耳を塞ぐわたしの頭に [03:07.46]次次と映し出される幻燈は [03:11.88]貴方貴方貴方のことばかりで [03:16.04]あな憎らしや此の恋心め [03:20.33]わたしの為ではない餘りものの愛情を [03:25.18]投げて寄越される度にほら [03:28.36]生温かく幸せな心地で進んだ針が又一つ戻る [03:36.36]貴方を忘れたくて仕方がないの [03:40.47]今日もこの部屋の中で動けずに [03:44.41]けれど心配は無用です [03:47.27]なぜならば置いてゆくのは貴方だから