蛍の光、窓の雪、 書読(ふみよ)む月日、重ねつゝ、 何時(いつ)しか年も、すぎの戸を、 開けてぞ今朝(けさ)は、別れ行く。 止まるも行くも、限(かぎ)りとて、 形見(かたみ)に思う、千万(ちよろず)の、 心の端(はし)を、一言(ひとこと)に、 幸(さき)くと許(ばっか)り、歌うなり。 筑紫(つくし)の極(きわ)み、陸(みち)の奥、 海山遠く、隔(へだ)つとも、 その真心(まごころ)は、隔て無く、 一へに尽くせ、国の為。 千島(ちしま)の奥も、沖縄(おきなわ)も、 八洲(やしま)の内の、守りなり、 至(いた)らん國に、勲(いさお)しく、 努(つと)めよ我が背、恙無(つゝがな)く。