[00:02.02]宇佐見 秋彦  多分、孝浩がこの世に一番大切なものは、 [00:05.99]弟なのだと思う [00:08.80]高橋 孝浩   ごめんウサギ、ごめん! [00:14.80]美咲の授業参観あるのすっかり忘れてたんだ! [00:18.24]一緒に遊びに行けない。本当にごめん! [00:20.78]宇佐見 秋彦  ああ。 [00:21.70]高橋 孝浩   あんなに前から約束してたのに… [00:23.89]宇佐見 秋彦  いいよ、仕方ない。 [00:26.67]宇佐見 秋彦  これって何回目だ? [00:28.39]まあ、親みたいなもんだろうから仕方がないか。 [00:31.71]それにしても、こんなにまで孝浩を夢中にさせる弟って、 [00:35.75]どんなやつなんだ? [00:37.86]きっと孝浩に似て、 [00:39.36]賢くて性格よくて可愛いくて、 [00:41.64]利発な子なんだろうな… [00:44.57]後日 [00:46.10]高橋 孝浩   ウサギ、ちょっと、 [00:47.92]弟の読書感想文、どうなおしたらいいか、 [00:51.15]アドバイスくれないかな? [00:53.04]宇佐見 秋彦  感想文なんて、 [00:54.51]思ったこと書けばいいだけだろう? [00:56.44]高橋 孝浩   いや、それはそうなんだけど、先生にも注意されちゃってさあ… [01:00.85]宇佐見 秋彦  ふん?見せてみろ。 [01:03.34]高橋 美咲   「『走れメロン』を読んで」、四年三組、高橋美咲。 [01:08.55]『走れメロン』を読みました。 [01:10.28]超感動しました。 [01:11.88]すごいと思いました。 [01:13.54]僕にはできないと思いました。 [01:15.53]終わり。 [01:18.76]宇佐見 秋彦  こいつ、ばか… [01:20.98]しかも、『走れメロン』って… [01:23.35]メロスだろう! [01:27.63]高橋 美咲   数年後、そのばかを好きになるということを、 [01:31.28]彼はまだ知らない。 [01:33.30]*『走れメロス』は太宰治の短編小説です。 [01:33.35]