十六夜きたりて白き道ゆく 足もとを埋める紅の雪 銀のナイフからしたたる生の血は 音もなく消えゆく 人の世を離れ一人ただ立つ 心揺さぶるものは既に無く 疎まれ忌み嫌われる命は いつまで続くのか 月の光 てらす銀色 なびく髪は さらり銀色 飛び出したナイフを 止める鞘などなくて 刹那のまま今を生きる 積みあげた骸を 数えることさえも 今はもう忘れた 今夜も一人雪の道を行く 狙うは幼き紅の月 不敵にほほえむ夜のともしび 闇を射抜く瞳 きらめく刃に交わるつばさ 伝わる呼吸と感じる鼓動 待ち望んでいた終わりの予感を 誘うのはあなた つたう涙 きらり銀色 時の運命 とかす紅 流れ出る赤色 体冷えてゆくけど 胸に宿る安らぎを ありがとうつぶやいた 応え求めぬ声に 返された口づけ 照らす夕焼け 染まる赤色 時は流れ ゆるり紅 くつろいだあなたに 今日も紅茶を淹れる 明日世界が終わるとしても 私の日々は 変わらずあなたの側に いつまでもずっと