[00:08.957] [00:13.448]西の空に風船が [00:17.707]窓拭きも止めにした [00:21.957]昼のサイレンが鳴り [00:25.707]通り低く鳩が飛ぶ [00:32.209]花瓶の花束は萎れ [00:35.957]泣き止んだ [00:39.457]出前の蕎麦はやけに延びて [00:44.448]煤けたヤカンが唸るやり切れぬ [00:58.197] [01:02.698]ああ、笑えと肩小突き [01:06.947]飴色の櫛を抜く [01:11.697]書き始めたノベルに [01:14.958]百合と涙を添える [01:21.446]猿山の上で蚤かき [01:25.208]彼の御方 [01:28.948]火照る肌埃の舞う中 [01:33.459]リンゴの芯を投げつけてくれる [01:40.207] [01:50.197]レンガ通りをゆけば彼方で太古の音色が [01:55.957]うつろに鳴り響く [02:00.197]嫌な夢か [02:05.458]山間に赤い月が [02:09.458]溶けている [02:13.197]頬紅の君肩を抱いて [02:18.457]小道を逸れタデの葉をちぎった