Claes tranquillo ~眼鏡と一つの約束~ Vo. 小清水亜美 「料理をするのも、絵を描くことも、楽器を弾くことも楽しいし、 ここには読みきれないほどの本がある……」 そしてなにより私は 無為に時を過ごす喜びを知っている それは遠い昔《お父さん》(パパ)か誰かに教えてもらったもの ──そんな気がするのだ…… 「7(Sette)ヤードで必中できるようになるまで帰ってくるな」 ──と《少女の担当官》(ラバロ)は言った… 少女が奏でる夜と朝の《輪舞曲》(ロンド)弾丸は雨の中踊り続けた…… 命令には服従──『条件付け』とは『鉄の《掟》』かい… 《お嬢ちゃん…お嬢ちゃん…》(クラエス…クラエス…) 「教養や好奇心のない奴は良い兵士になれないからな」 ──と《無愛想な担当官》(ラバロ)は言った… 少女の《写真》(Fotografia)とても大事そうに 本を抱えて微笑んでいた…… 記憶の書き換え──『条件付け』とは『鉄の《檻》(Gabbia)』かい… 《お嬢ちゃん…お嬢ちゃん…》(クラエス…クラエス…) 「射撃の練習はしばらく中止となり、 翌日、私達は朝から出かせることとなった……」 「──それから、私たちは何度か湖に足を運んだ。 ロンバルディア、ヴェネト、ピエモンテ……。 公社での私たちはいつも無口で、 お互い教官と教え子の役割を忠実にこなしたが、 何故かいつも湖では会話が進んだ。 それが二人の暗黙のルールだったのだ……」 【正当防衛以外では抜いてはならない】 地下鉄に湧くチンピラ相手のちょっとした実地訓練 煌めく《刃物》(Knife)が突き刺さる瞬間の衝撃 【射撃の腕より抜くタイミング】 重要だと教わってたのに…… 嗚呼…刃物(Knife)の間合いに入ってから 銃を使うと決めても 嗚呼…相手の間合いに入ってから 引き金を引いても遅いんだ ──今度撃つ時は決して躊躇わない…… 公社の射撃訓練場 → ジャムった少女のSIG → 素早く詰め寄るラバロ → 拳で弾け飛んだヘンリエッタ → 弧を描きジョゼを張り飛ばす → その背後には立ち上がったヘンリエッタ → 持ち上げた凶器を構えて → ラバロに照準を合わせた → それを見た私は引き金を引いた → 今度は躊躇わなかった…… 「私が退院して間もなくラバロさんは公社を去った。 宿舎の鍵と古びた眼鏡、数えきれない想い出を遺して。 私が彼の姿を見たのはそれが最後だった……」 【この眼鏡をかけてる間はおとなしいクラエス】