隠れた月の向こう側 一本の木に横たわる はじめから影はあったけど 見えぬままにさようなら 8月は声をあげて泣く 愉しくて嬉しくて泣く 細く痺れたふたつの足が 砂の熱さに負けて泣く 言葉の波に呑まれては 触れ合う腕だけが優しさ 明るいところへ行きたくて 寂しいあなたのお隣へ 夜光虫の人生か 誰かを照らす人生か 誰かの言葉借りるなら 全てをすくえはしないけど 陰鬱な雲の上までも 生まれたままでのぼってゆけ いちどきりだからきいていて いちどきりだからきいていて 高く遠くまで飛びたくて 寂しいあなたのお隣へ 夜光虫の人生か 海の底で終わるのか 眩い星になりたくて 寂しいあなたを照らすため 暗がりで夢を見る 明るい場所じゃ光れない