[00:09.91] [01:01.62]身に余る 馳走ぞ [01:06.51]来ぬ 佳話(かわ)の 瑞(みず)よ [01:11.67]皆 其処に 円居(まどい)て [01:16.70]返杯を 享(う)け 賜(たも)れ [01:26.68] [01:44.63]疎ましき 醜女(しこめ)と [01:49.49]野放途(のほうず)に 吐き [01:54.51]助(すけ) 流す 不義理に [01:59.57]慄(ふる)え 戯笑すら 覚えて [02:05.98]配(つれあい)の 名は [02:10.67]行き摺れ合う 廝女(しじょ)の 意か [02:15.98]然(さ)りとても 消すとは [02:21.40] [02:21.68]過ぎた 望みなら 道連れの 夢 [02:29.33]始めから 見させないで [02:34.02]戯(ざ)れに 契りを籠む 前に [02:39.05]只(ただ) 一言 呉(く)れれば 済む [02:46.28]賤(しず)なる 醜女(しこめ)を [02:52.12]娶りはしないと [02:59.05] [03:50.48]羽根の折れた 鳥の様に [03:55.45]弱りし 貴方を [04:00.57]抱き締めたのは 情けと [04:04.58]心悸(こころときめき) 染めた 故(から) [04:09.64] [04:10.03]貴方に もっと 尽くして [04:12.51]貴方を きっと 癒して [04:14.97]貴方を ずっと 守って [04:17.55]貴方に そっと 寄り添い [04:20.04]偶(たま)には ちょっと 笑って [04:22.61]はにかむ様に [04:24.21]見てくれさえすれば [04:29.48] [04:30.22]私は もっと 良くして [04:32.70]二人は きっと 通じて [04:35.17]誰もが ずっと 囃して [04:37.70]二人で そっと 夢見て [04:40.22]私は ちょっと 綺麗に なれただろうに [04:44.42]如何(どう)して 無体な 真似 [04:51.16] [04:51.63]抑(そも) 父母の 業(ごう) [04:58.85] [05:01.86]残忍 煩悩濫(らん) [05:08.33] [05:29.00]手前(てめえ)で 娶(めと)った [05:30.42]寡婦(かふ)の 連れ子の 器量を 疎(うと)み [05:36.17] [05:38.23]鬼すら 怒(いか)れる 狂愚(きょうぐ) [05:40.35]川面(かわづら) 目掛けて [05:41.91]抛(ほ)り 棄て [05:45.16] [05:46.09]非道の 父(かぞ) 有り得(え)まじ [05:51.88]自分の 吾子(あこ)を 見殺し [05:54.08]代わりを 孕(はら)んで 澄ます [05:58.86] [06:01.00]川太郎(がたろ)も 逃げ出す 邪慢(じゃまん) [06:03.17]其の 面(つら) 目掛けて 唾吐(つば)きたし [06:07.98] [06:09.10]非情の 母(いろ) (外道(げどう)) [06:13.55]悲劇の 渦(か)は 重なり [06:19.30]後に 繰り返す 悪夢の 糸を [06:28.37]手繰り 寄せ 見らば [06:32.90]亡姉(ぼうし)の 骸(むくろ) [06:37.47]波を 揺籃(ゆりかご)に 沈みて 消ゆる [06:46.69]愛子(まなご) 無きに為し [06:51.19]渡るが 親か [07:00.97] [07:36.34]生(い)くるに 易くは 無き [07:46.37]憂き世に 選(すぐ)るは 道理 [07:56.49]野山の 獣(けだもの)とて [08:06.66]言わずも 間引きて 釣合うもの [08:17.13]否(いな)や 捨て置けぬは 振る舞いと [08:27.19]落ちに 非(あら)ざる 其の 訳ぞ [08:37.23]憐れみでは 無く 何(な)どに 疎(うと)ましむか [08:47.59]倩々(つらつら) 念(おも)う [08:49.44]怨(うら)めしきは 其の [08:55.87]御為尽(おためづく)の 面(つら) [09:02.53] [09:38.39]知ったか振りの 坊主の目が [09:41.20]矢鱈(やたら) 光って 此方(こっち)を見る [09:43.72]震え上がった 御歴歴(おれきれき)も [09:46.23]ほっとするなり やんやの声 [09:48.25](やあ)功徳(こうとく)ごかした 説法 打ち [09:51.28]委細 聴こうと 平左(へいざ)の様(さま) [09:53.81]恰好付ける 空念仏 [09:56.34]周(ぐるり) 回って 面白き [10:00.82]上人(しょうにん)の 名は [10:05.56]生者付(せいじゃづき)の 太鼓持(たいこもち) [10:10.96]引き込みて 黙(もく)せよ [10:16.57]過ぎた 望みなら 道連れの 夢 [10:24.19]始めから 見させないで [10:28.93]戯(ざ)れに 契りを籠(こ)む 前に [10:34.03]只(たった) 一言 呉(く)れれば 済む [10:41.27]醜女(しこめ)は 要らぬ とて [10:46.42]殺(あや)めるのなら 始めから 作らないで [10:54.19]生まれ 巡り会えた [10:58.34]傍(そば)に 無愧(むぎ)な 非情に [11:03.40]泡と 消えた 彼の日の 私に [11:12.31]襲(かさ)ねて 遣(や)ろうか [11:19.68] [11:40.13] [11:58.93] [12:01.49] [12:04.46] [12:51.55]おわり