街灯は 埃を吹く 途切れない夜が屋根を覆った 教えてあげるよ 星の名前 ひび割れ時計塔 「そろそろだ。切符は持ったね?」 気休めの丘で君と目を細め 箒星のように霧を絡ませ 軋む車輪の音が二人を包んだ 朝を取り戻しに行こう エトワールの果実は 送り火に似て 淡く 握った君の手が ふわり緩んで 硝子の鳥たちは 白日を食べてゆく 潤んだ目を見れなかった 灰色の雲 産み出し 天の川沿いの駅を辿る おぼろげ電燈 汽笛が鳴く 斑点纏った移ろいの黒が 何故だか寂しくて 涙ぐむ君がそっと口を開けて 「行かなきゃ。」と霞む声で囁き 「一緒に行くんだろ?」 届く前に消え 顔を伏せ 震える肩 フィロメラから君が朝を切り取る そのとき 灯った身体が さらり溶けて 飴色の終日に 泣いてよ 笑ってよ 薄まる闇夜を睨んだ ハレルヤ 列成す白銀灯 波打ち際 誰かの砂絵 ハレルヤ 歌い出せば たゆたう古惚けた背を見て 君がいなくなっても 夜が明けてしまっても 忘れられないよ リリアナの指輪は 広場の泉に落ち 水面に跳ねた光が 街を染めた 車窓から眺めた 薄色の朝焼けは 少し 君の匂いがした おやすみ。