流離う 涙の海を漂う彼女 行方不明 空から列車が落下して 悪夢から覚めた明け方 誰か抱きしめて誘って 穏やかな夢を案内して 注ぎすぎたお酒みたいに 零れ落ちた別れの言葉 断片を拾い集めても 解読不能なヴォイニッチ手稿 聴こえるのは耳鳴りじゃない イルカの歌 尋ね人はまだ見つからない 宛ら不自由な宇宙遊泳 救命艇みたいワンルームのベッド ひとりで見る夢 漂流彼女 神様の気まぐれせいで 生まれ落ちた私だけど 一度限りの命でしょ? 気まぐれで終われない 命綱をそっと手繰り寄せ 誰かに結ばれているか 否か 知る由もない 無音のなかで 鼓動のシグナル探す日々 そう 私が絶滅危惧種の何かで 地球上で唯一の生き残りだとして 行き場を失ったクズ同然の愛情 捨ててしまいたい 人身事故で遅れている朝の電車が 箱舟に見えてしまったんだ その時から 番いではない私 どうせ乗車できない 「愛なんて歌えないよ」 鳴り止まない 聴こえるのは耳鳴りじゃない イルカの歌 尋ね人はまだ見つからない 宛ら不自由な宇宙遊泳 救命艇みたいワンルームのベッド ひとりで見る夢 漂流彼女 流れ着いてよ どこか遠くへ あなたの待つ素敵な場所へ 探しているよ 歌えるような 今は音信不通のラブソングを 漂流彼女 おわり