胎内の無限巡り 胎動に怖気走り 子が孕み 鬼子を産む 木枯らしに 蓋が開く 腹を蹴り なりにけり 代々の因習を お前愛しくて 今夜も会いにゆく 五色の簪(かんざし) を通せば あの日のままに お前愛しくて 今宵も掘り出す 皮も肉も落ちて 最期は綺麗に成った 春は月光【花海棠/花街道】 夏は【千日頭/千日紅】 垂れ 秋は女郎花(おみなえし)と【桔梗/帰郷】 冬は死人に【梔子/口無し】 河原が賽(さい) なら さいなら六文 陸(ろく) でもないなら七並べ 七(しち) 面倒臭い八(やつ) だね まった九(く) 九つ数えて 十(とお) りゃんせ はらひら散り竹の花 七代前から見ていたぞ 十までに迎えに参ろう (十までに迎えに参ろう) 椿旧家は花の宵 白狐を匿う奥座敷 四方埋める無残絵に よく似た娘の影法師 帯を解く 池の淵 晩夏の書庫にて猿轡(さるぐつわ) 溺れた金魚の襖 良い子でいなけりゃ つれてくぞ お前愛しくて 今夜も会いにゆく 五色の簪を 通せば あの日のままに お前愛しくて 今宵も掘り出す 皮も肉も落ちて 最期は綺麗に成った