二度と来ないかのように ただはしゃいだ夏はすでに 足音もたてることなく まぶたに消えた 彼の茶色い髪が風に翻(ひるがえ)るたびに チェリー・コークと潮のにおい 若すぎた遠い日のこと あの夏は… あの夏は… 地球の裏側目指し 二人潜った海の底は 怖いほど 全ての否定(ひてい)より暗く、言葉は奪われた 熱い太陽だけが追手だったあの頃に 帰れないことに気付かせる 写真より色あせた肌 変わりないココナツの香から よみがえる 屈託(くったく)のない彼の笑顔 泡になった はるか夏の日は 泡になった 愛しい夏の日は 逃げまどうタバコの煙から よみがえる消え際(きわ)の悲しい花火 泡になった はるか夏の日は 泡になった まぶしい夏の日は 泡になった 2 人の夏の日は 泡になった 2 人の夏の日は 夏の日は