誰(だれ)もない遊園地(ゆうえんち)にひとりきり、小(ちい)さな子(こ)が泣(な)きじゃくってた 踵(きびす)を返(かえ)さず場(ば)をあとにした、僕(ぼく)には関係(かんけい)ない事(こと)だ そうそう、そこでじっとパパ(ぱぱ)のお迎(むか)えを待(ま)ってなよ 「どこだろう」と言(い)いながらその子(こ)は立(た)ち去(さ)った 昔(むかし)、知(し)らない場所(ばしょ)で落(おと)し物(もの)し泣(な)き顔晒(がおさら)し手(て)を引(ひ)かれ 白皙(はくせき)の魔法使(まほうつか)いに助(たす)けられたっけな あの人(ひと)のようであれば、僕(ぼく)を助(たす)けて救世主(きゅうせいしゅ) 時計(とけい)は静(しず)かに笑(わら)う 散開星団(さんかいせいだん)とはしゃぐ至高(しこう)のフェアリーランド 昔日(せきじつ)に見向(みむ)きもせず ヒビ(ひび)の入(はい)った硝子(がらす)の靴(くつ)は遠(とお)ざかる まだ奇譚(きたん)の事始(ことはじ)め 誰(だれ)もない街(まち)の中(なか)で躓(つまづ)いて、草臥(くたび)れたお人形拾(にんぎょうひろ)う なぜだか手放(てばな)せなかったんだ、お荷物(にもつ)になるだけだろうに 奇妙(きみょう)な行動(こうどう)に自分(じぶん)でも苦(にが)く笑(わら)いたいよ けれどそれも出来(でき)ぬ程退路(ほどたいろ)を断(た)たれてた そして再(ふたた)び歪(ゆが)み始(はじ)める空(そら)、望遠鏡(ぼうえんきょう)を捨(す)て去(さ)って ぼろぼろの人形(にんぎょう)だけ抱(かか)え走(はし)り出(だ)してた 早(はや)く助(たす)けて救世主(きゅうせいしゅ)、幼(おさな)い声(こえ)がそれに被(かぶ)る 時計(とけい)は針進(はりすす)める 惑星(わくせい)を打(う)ち落(お)とす非常(ひじょう)のネバーランド 罵倒(ばとう)にも背中見(せなかみ)せず 散(ち)らばった鏡見(かがみみ)て指先凍(ゆびさきこお)る 今奇譚(いまきたん)の中盤戦(ちゅうばんせん) 昔(むかし)、知(し)らない場所(ばしょ)で落(おと)し物(もの)し泣(な)き顔晒(がおさら)し手(て)を引(ひ)かれ 白皙(はくせき)の魔法使(まほうつか)いに助(たす)けられたっけな あの人(ひと)は此処(ここ)に来(こ)ない、誰(だれ)だったか思(おも)い出(だ)したんだ 今君(いまきみ)を助(たす)けに行(い)くよ 伸(の)びた影(かげ)を踏(ふ)む最後(さいご)のワンダーランド 呼吸(こきゅう)など意識(いしき)もせず 尋(たず)ねるよ、あなたの落(お)としたものはこれですか 「ああ、もう何(なに)も要(い)りません」 12時(じ)の鐘響(かねひび)く最後(さいご)のワンダーランド 懐(なつ)かしい重(おも)さ戻(もど)る 告(つ)げられる「全(まった)く、君(きみ)には敵(かな)わないな」 奇譚(きたん)の結(むす)び聞(き)かせて