大きな窓が気に入ったの 湖が見えるから 5月になれば花が咲くわ 一面に 人が見れば 珍しくもないと通りすぎるはず 宝物は平凡な場所に隠されるもの 誰も知らず どこにも記されずに 消えてしまう恋のうた 私だけが存在を知っている 二度と開けない箱 静謐の中を水鳥が泳いでく 白くけぶる朝もやの中で踊る迷子たち 目覚めるとき 夢じゃなかった証を 握っているの 口にすれば 艶やかに色づいて 支配される恋のうた そのしらべは 私を変えてしまう 甘く哀しい音 冷たい手の感触 慈しむような瞳 奪わないで 私から あの人がくれたもの 夢ではない証 誰も知らず 目にも見えないなら 無意味だと言うでしょうか 私が覚えている限り うたはここに 誰も知らず どこにも記されずに 消えてしまう恋のうた 私だけが存在を知っている 二度と開けない箱