あなたが居れば何も要らなかったの あなたの傍で微笑むわたしはもう 世界中のどこを探しても見つからない 嗚呼、あなたが居ない… 愛しいひと共に眠りましょう 動乱止まぬヴェロナ 嵐招く二つの旧家 運命廻るマスカレイド 踊らされ二人は出逢う 青い瞳 花弁の唇 一目で 恋に落ちた 絡み付く色彩の渦 華美に縁取られた嬌声に 退屈なオルゴヲルの舞台 立ち交じり ひときわ 美しい 君こそが! 夢見るように手繰り寄せ 無邪気な悲劇の幕が上がる 知らないままに恋に落ちた 憎き仇敵の君/あなた もう戻れない どうかおやめになって 浮気な月に誓うなど それならば何に誓えば 誓いはあなた御自身に もしも僕のこの思いが… いいえ、矢張り今夜はもう止(よ)しましょう 満たされぬ心を如何すれば良い わたしのすべてを差し上げたいの 一切を捨ててあなたのもとへ 嗚呼これはすべて夢ではないのか あまりにも幸福で現実とは思えない 御機嫌よう 愛しい御方 御機嫌よう 別れ難き君 今宵の幸福を胸に抱いて 次逢う時には 祝福を受けて 永遠に結ばれる そうきっと 幼い愛を取り巻く 醜き血の因縁 絡み合う歯車は動きを止めない やがて起きる白昼の惨劇 運命は無情に彼らを引き裂く 与えられる罰は重く 二人は嘆きの淵に落ちて さんざめく星々が身を隠し 冷たく朝を告げる雲雀の声 あなたの臆病な耳を貫く あれは小夜啼鳥よ 瞬く毎に白みゆく空が恨めしく 口づけでせめてもの愛を縫い留める 必ず戻るよ 御約束してくださいな 必ず君のもとへ その時こそ二人はひとつに 愛しい方は街を去り 縋るのは冷たい死の妙薬 嗚呼すべてあなたの為に 仮初めの毒薬を飲み干しましょう 幾多の眠りを抱く 霊廟にたどり着いた 若者は膝を折り 眠る乙女を見つめる 薔薇色の頬はそのままに 嗚呼 その声は愛しいひと 目蓋は永久に閉じられ 迎えにいらしたのね 運命よこの命を奪え 目を開けたらその時は この毒薬との死の接吻(口付け)で いつまでもそう あなたと