目が覚めたら夜の静寂 嫌な夢を見ていたみたい 汗を拭い見渡したら変哲のない穏やかな…嘘 目が覚めたわ夢の静寂 引き戻す誰かの悲鳴 あちらこちら火の手あがり 世界を染めてく 「早く逃げなきゃ」焦るほど 爪先が動かない ここで終わらせても良い? なんて 呟いた でも 聞こえてくる蹄の音 遠く高らかに 道を拓く黒煙 従順な僕のように 白馬を駆るその姿はまるでおとぎ話  その(あ)少女は気高く麗しく炎を纏い 目の前で立ち止まり 白い手を差し出し 「あなたを助けに来たわ」と 満足そうに笑う パチパチと火花の音が 耳を翳め 思考を暈す ひらひらと逃げ惑う 蝶 焦付いた瞳 「君は知らなくてもいい」と あの日背を向け逃げた 私を追いかけてきた なんて 恐ろしい でも 祈りながら呪う様に歌う幸せは 時に人を狂わせる熱病 恋焦がれて 風に靡く白金の鬣 ねぇきっと 私たちは 正しいことなんて 判らなくて 此の腕をとったなら そのまま抱きしめて 「一緒にきて頂戴」と 無邪気に命を下す いつか見つかるのだろう そして出会うのだろう 夜の終わり告げる 旅立ちの鐘の音…