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春になりました。 |
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坊やとウサギは長いこと庭に出て遊びました。 |
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坊やの 行くところならどこへでもウサギは一緒に行きました。 |
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手押し車に乗せられたり、芝生の上でお弁当を食べたり、また、花壇の後ろにある、木苺の茂みの下に、妖精の住処のような小さいうちを作ってもらったりしました。 |
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一度などは、坊やが急によその家にお呼ばれに行くことになって、出かけてしまい。 |
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ウサギが夕暮れになるまで芝生に置き去りにされたことがありました。 |
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夜になって、ばあやが明かり思って、ウサギを探しに行きました。 |
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「ウサギがいないと眠れない」と坊やが言ったからです。 |
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ウサギはその時、夜の梅雨に打たれて、シュリンクで、それに坊やが今に作ってくれたウサギがなに穿いていたあとだったので泥だ泣けでした。 |
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ばあやはエプロンの端っこでウサギの泥を落としながら、ぶつぶつ言いました。 |
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「この古ぼけたウサギがいないとだめだなんて、こんなおもちゃなどこかいいんでしょう。」 |
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坊やはベッドの上に起き上がって、手を伸ばしました。 |
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「僕のウサギよこせ。そんなこと言っちゃいけないよ。失礼いじゃないが、これがおもちゃじゃないんだ。本当のウサギなんだよ。」 |
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これを聞いたとき、小さいウサギはどんなに嬉しかったことでしょう。 |
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川のうまの言ったとうひのことが起こったのだと分かったからです。 |
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子ども部屋の魔法が実際に自分の身に起こり。 |
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ウサギはもうおもちゃではなく、本当のウサギになれたのです。 |
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いま坊やがそう言ったではありませんか。 |
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その夜、ウサギはあまり嬉しくて、眠れないほどでした。 |
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「坊やを好きだ」とういう気持ちがもい上がり、まるで、ウサギのおが屑で出来た小さい心臓が破裂しそうでした。 |
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靴のボタンで出来ているウサギの目には智慧の輝きのようなものが浮かび上がりました。 |
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ですから、次の朝、倍浅いのウサギを手に持った時、そのことに気が付いて。 |
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「まあ、このウサギ、なかなか恐そうな顔をしてるじゃな」と言ったほどでした。 |